ヨーロッパ研究コース

spain2-1ヨーロッパ研究は、他の地域研究と同様、ひとつの地域を専門の枠にとらわれずにグローバルな視点から理解しようとするものである。しかしながら、ヨーロッパは言語的にも英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ロシア語など多数の言語が使われる多様な社会である。しかも長い歴史があるため、宗教、哲学、文学、芸術、あるいは政治、経済など世界各国のモデルとなったものも多く、ひとつの領域をきわめるだけでも容易ではない。ヨーロッパ研究コースには少なからぬ教官が、専門的あるいは学際的な視点から授業をおこなっているが、上に述べたようなヨーロッパの多様性をすべてカバーするには決して十分とは言えない現状である。にもかかわらず、本コースの学生たちは、独自のユニークな修士論文を発表してきた。

地域研究の良さは、指導教官の言うがままに勉強するのではなく、自由な雰囲気の中で、苦しみつつも主体的に学問をつくっていく悦びにあると言える。技術的には、対象となる地域の言語を使いこなせることが基礎的な条件となるが、それに加えて大切なことは、主体的な問題関心(研究テーマ)をもつことである。本コース(あるいは本研究科)にそれを専門とする教官がいなくてもあきらめることはない。副指導という形で、他研究科の教官に指導をお願いすることも可能なのである。より広い人間的なネットワークの中で、お仕着せではない、自分自身の学問を創造してほしい。

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