専攻長メッセージ

 

新たな地域研究の地平を切り開くために

専攻の沿革

筑波大学が1973年10月に開学した直後の1975年4月に、大学院修士課程として地域研究研究科が設立されました。それ以来、同研究科では世界主要地域を網羅する10研究コースを設けて、数多くの研究者や地域専門家、国際的素養を備えた職業人を輩出してきました。その後2008年4月に、地域研究研究科は、人文社会科学分野との学際的な連携関係を強化するため、人文社会科学研究科博士前期課程国際地域研究専攻として再編されました。

2015年4月から、人文社会科学研究科の改組に伴い、国際地域研究専攻は外事研究に特化して、修士課程国際地域研究専攻として新たなスタートを切りました。また、2015年度から、グローバルに活躍する地域プロフェッショナルを育成する、学士課程と修士課程を縦断した一貫制早期修了プログラム(ASIP)が始まり、さらに、人文社会科学研究科の留学生を対象とする様々な英語特別プログラムが、国際地域研究専攻内に一元化された体制となりました。

 

地域研究とは

 地域研究(Area Studies)は、世界各地域の実態を学際的に研究し、その個性や特性を総合的に把握することをめざす学問領域です。一定の文化を背景に地域に住む人々と、人々が作り上げる社会に対する深い知識と洞察、つまり地域研究によって蓄積された知見を通してのみ、持続的成長、平和構築、異文化間の共生等、人類が直面する課題に対処することが可能となり、外交や国際協力、企業活動も成果をあげることが可能になると考えられます。グローバル化が進展する現代世界において地域研究の重要性は益々高まっています。

 

筑波地域研究の特色

国際地域研究専攻は、東アジア研究、東南アジア研究、中央ユーラシア研究、中東・北アフリカ研究、ヨーロッパ研究、北アメリカ研究、ラテンアメリカ研究の7つの研究領域から構成されています。一つの地域に軸足を置きつつ、グローバル化に対応した他地域との比較研究を可能にする柔軟なカリキュラムを用意しています。特定地域に関する専門的な知識を修得する地域研究科目に加え、学際的研究による総合的視野の確立を目的とする専門基礎科目と、専門地域に関連した言語や文化の習得のための言語文化科目を提供しています。

専攻修了によって、修士(地域研究)または修士(学術)の学位が授与されます。

 

教育研究の柱:学際性、国際性、実践性

国際地域研究専攻では、専門的な学問領域を極めつつも、隣接領域の方法と問題群を把握し、グローバルな課題と地域社会の実態に迫る分析能力を強化することを重視しています。また、本専攻では、留学生を積極的に受け入れるとともに、世界に広がる筑波大学の大学間協定による交換留学を通じて、フィールド調査の実施や、単位認定などを推奨しています。教授陣と留学生の国籍は15カ国以上に及び、学生の約3分の2は海外からの留学生です。正規の定員のほかに、日本の国際協力の一環としてJICA/JICEが行っているJDSプログラムやABEイニシアチブ、中央アジアの学生を対象としたSPCAやSPJESプログラム、および日本政府と世界銀行の援助を受けている経済・公共政策プログラム(PEPP)という5つの英語プログラムがあり、これらを通して、毎年20名を越す留学生を受け入れ、学位を授与しています。専攻の開設科目のうち英語で行われる講義・演習の数は約70科目を数え、英語のみで履修し、学位を取得できる体制が完備しています。さらにセミナー、海外での現地調査や研究会等への参加を通じて、実践的なプレゼンテーション能力や自己表現応力を養います。

 

修了後は…

修了生は、国際的に事業展開をする企業、教育界、官界、マスコミ、国際協力等の分野において、専門職業人としての活躍が期待されます。研究者を目指そうとする修了生は、人文社会科学研究科の博士後期課程への進学の道が開かれています。80名を越す多彩な教授陣とともに、新たな地域研究の地平を切り開きましょう。

 

人文社会科学研究科

国際地域研究専攻長 箕輪真理

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